2008年9月5日、新行財政構造改革推進方策第二次案について自民党県議団を代表して五島委員より
意見を開陳しました。
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下記に意見の内容を全文掲載いたします。ぜひご確認くださいませ。
行財政構造改革調査特別委員会 意見開陳
平成20年9月5日(金)
発言者:五島たけし理事
厳しい財政状況の中、行革については、本年2月に策定された第一次新行革プランにおいて財政フレームをはじめ、本庁組織、定員・給与、事務事業、投資事業等が示され、それに基づき改革を進めていますが、これに引き続き、このたび、県民局をはじめとする地方機関の再編、試験研究機関、公営企業、公社等の残された課題について、新行財政構造改革推進方策(第二次案)が示され、改革の全体像が明らかにされました。
このため、わが自民党議員団では、二元代表制の趣旨を踏まえ、第二次案の基となった企画部会案が提示されたと同時に「県民局・地方機関等」「基本計画・行革条例」「公社・外郭団体」「県立施設等」の4分野でプロジェクトチームを立ち上げ、精力的に検討を重ね、様々な意見を集約したうえで、先般の特別委員会においても質疑を行ったところであります。
今回の行革は、阪神・淡路大震災以降3度目の改革であり、何としても成功させなければなりません。そのためには、策定で安心することなく、その実現に邁進することが大切です。その意味で、今後は、改革のフォローアップが非常に重要な意味を持つことになると思います。
これらを踏まえ、以下、わが党議員団の第二次案に対する意見を簡潔に述べてまいります。
1 県民局体制について
現地解決型の地方機関の組織のなかでも、その中核となる県民局について、第一次プランでは、5県民局1県民センター体制を打ち出されましたが、市町長、関係団体などから、現地解決型の総合事務所として定着しつつあるなど、存続を求める意見が相次いだことなどを考慮し、二次案では、引き続き県下10地域に県民局を存置することとされました。
県民局自体のスリム化とともに、このような地元市町や地域団体からの強い要請を踏まえると、現時点では10県民局体制を存続することは、やむをえないものと考えますが、新行革プラン策定後、10年間通じて、この10県民局体制を維持していくことは、適切とは言い難く、さらに、第一次プラン策定後、わずか半年ほどで、5県民局1県民センター体制から、10県民局体制存置へと、大きく方針が変わったことは、県民に、行革に対する後退感を強く印象づけ、県政に対する不信感を抱かせたのではないかと大いに危惧するところであり、十分な説明責任を果たすことが必要であることは言うまでありません。
また、平成13年度の10県民局体制から今日まで、西宮市、尼崎市など中核市が誕生する流れの中で、県は広域的、専門的な政策の展開と、市町の補完的役割に重点を置き、市町は、地域に密着した住民サービスの提供が基本であると考える時、県と同様若しくは遜色無い権限を持つ市には、その自立性を尊重し、関与の度合いを弱め、その他の市町を対象とした重点的な施策展開、地域振興を図るべきであると考えます。
さらに、今回の行革を着実に実行するため、現在の県民局体制が、地域における多様な県民ニーズや地域課題に的確に対応しているか、現地解決型総合事務所としての機能を十分に果たしてきたかどうか、不断の検証を行うとともに、政令指定都市や中核市をはじめとする市町と県民局の関係を改めて検証し、本来県の果たす役割、県民局体制のあり方について引き続き検討し、3年後、すなわち平成22年度末を目処に必要な見直しを行うべきであります。
2 県民局の内部組織について
現在の5部体制から抜本的に簡素・合理化し、事務所機能の強化を目指すことは、職員数減員の観点から、更に機動的、弾力的な組織運営を行う観点からも適切と考えます。
しかし、兵庫県は日本の縮図と言われるように、人口が集中する都市地域から人口減少や高齢化に悩む地方部に至るまで、多様な地域間格差、課題を抱えており、それぞれの地域特性に適合した政策を展開するため、10県民局一律の室、事務所体制では十分とは言えません。
特に、県民室をはじめとする内部組織については、それぞれの地域特性に応じた組織体制とするよう、柔軟に対応すべきであります。
3 教育事務所の見直しについて
教育事務所については、神戸教育事務所を廃止し、10事務所から6事務所に統合再編することとしており、教育事務所再編の基本方針については、評価しますが、現行業務を更に精査し、市町教育委員会との役割分担を明確にする必要があります。
特に、県教育委員会と市町教育委員会との連絡調整役は果たしているものの、市町立学校に対する直接の指導・支援は積極的には行われていない面もあることから、県民局の所管毎に設置する必要性が低く、宝塚、加東、光都の3教育振興室については、設置する必要性が乏しいと考えます。
また、将来的には教育事務所自体のあり方も検討すべきです。
4 地域普及所の見直しについて
地域普及所について、JA営農指導センター等に設置することで、コスト縮減や、県普及員との更なる連携による営農指導の相乗効果が期待できることは評価します。
しかしながら、三木市や宍粟市のように、管内に複数のJAが存在する地域があることなどから、地域の実情に応じた配置を検討すべきと考えます。
5 地域事務所の見直しについて
地方機関再編の基本として、一圏域一事務所とすることは適切と考えますが、その中でも、県土保全に関する土木事務所については、地域特性を十分に考慮する必要があると考えます。
比較的事業量等の少ない事務所は、やむを得ない面もありますが、北播磨、中播磨、西播磨といった管轄区域が広く、例えば、再編によって現場までの所要時間が1時間を超える区域が増加するような事務所や、今後一定の事業量が見込まれる事務所は、その地域特性を十分に配慮すべきであります。
また、道路の陥没、落石、倒木、河川護岸の崩壊などの突発的な事故や積雪時の除雪作業等に迅速かつ的確に対応するなど県民の安全・安心の確保を最優先に考えるべきであります。
このような観点から、土木事務所については、全てを一律に集約するのではなく、地域の状況を踏まえ、再編を見直し存続すべきと考えます。
6 再編後の庁舎財産の有効活用について
組織縮小、廃止後の庁舎の有効活用方策について、地域のまちづくり活動や創作活動の拠点としての開放や、民間への賃貸や売却等も含め早期に検討すべきと考えます。
7 試験研究機関について
(1)地方独立行政法人化の検討について
各試験研究機関の使命・役割、二次案による改革の状況等を踏まえつつ、地方独立行政法人制度の利点・課題を見極め、移行の可否や制度の利点を活かす運営形態のあり方について引き続き検討することを求めます。
(2)関西広域連合(仮称)について
また、試験研究機関に関しては、県内・近畿府県の枠組みを超えた協力体制の強化や、情報交換、施設・機器の相互利用など、広域的な連携を進めるとされています。その一方で、関西広域連合が担う連携事業として、公設試験研究機関間のネットワーク形成による情報提供や設備更新の連携、人材交流のほか、研究機関の共同運営についても広域連合設立後の事業実績等も踏まえ、調査・検討されることから、本県における行革での取組みとともに、関西広域連合との協力体制についても、長期的な視点に立って検討を進めていくことを求めます。
(3)県立工業技術センター等について
《1》県立健康環境科学研究センターの再編について
県立健康環境科学研究センターは、保健衛生部門の衛生研究所と環境部門の公害研究所の2機関を統合し、人と環境に関わる試験研究等を一体的に扱う機関として設置されました。しかし、ひょうご環境創造協会が、環境行政の実施機関として、類似の試験分析業務を行っており、検査機器・設備や機能面も同等であることから、第二次案では、県と公社等の類似業務を解消することを目的に、この統合を実質的に解消する方向が示されています。
しかし、県民の健康に影響を及ぼすような危機的事例などに対しては、保健衛生部門と環境部門が連携し、一体的に取り組む必要があることは言うまでもありません。再編後も、県民の安全・安心に関わる諸課題への対応に支障をきたすことのないよう関係機関の連携強化に努めるべきであります。
《2》県立工業技術センターの再編について
県立工業技術センターの三支援センター(機械金属分野、繊維分野、皮革分野)のうち、三木市の機械金属分野の支援センターを廃止し、本所に機能を統合することにより、機械金属分野の高度で多様な企業ニーズに対して、これまで以上にワンストップで総合的なサービスの提供を行い、支援の充実を図ることとしていますが、その廃止にあたっては、地元の中小企業をはじめ地域の意見・要望等を十分に斟酌し、地元の理解が得られるように努め、播州金物等の機械金属分野に対する技術支援が低下しないよう、円滑な改革を進めることを求めます。
8 教育機関について
(1)県立大学について
統合前の県立大学は、専門分野別の三つの大学がそれぞれの特徴と専門性を活かした特色のある存在でしたが、平成16年度に総合大学として統合開学後は、その特色・特徴が見えません。
また、県立大学は、私学での取り組みが困難な分野を補完する側面があることから、その一つである理工系の教育に重点化して進めていくことも必要です。2009年度の全国総合大学ランキングのISI・引用度指数では、工学分野で第3位に位置するなど、工学部の教員の研究業績は高く評価されており、外部資金の活用も工学部・理学部で約7割を占めています。その一方で、偏差値の推移を見ますと、平成11年度で工学部が48、理学部が55であったのが、今年度は工学部が46、理学部が51と低下しており、統合前の旧姫路工業大学の機能の充実を図りながら、特色ある教育・研究分野を強くアピールしていくべきと考えます。
これらのことから、県立大学の果たすべき役割と機能を十分に考慮のうえ、県政と連携し、地域資源を活用した特色ある教育・研究を推進するとともに、産学連携のさらなる強化、外部資金の活用による研究の推進など時代や社会ニーズに的確に対応するよう機能の充実を図ることを求めます。
また、大学本部機能については、神戸学園都市キャンパス等の適地に移転する方針が示されていますが、工学部、理学部、環境人間学部などがある播磨地域も将来の候補地として視野におき、幅広く適地を検討する必要があります。
さらに、神戸学園都市、明石、姫路書写、播磨科学公園都市、姫路新在家の各キャンパスに配置されている総務・学務などの事務部門に関しては、地理的物理的に必要不可欠である面も否めないが、不効率さを感じることから、本部機能の移転とあわせて、可能なかぎり事務部門の再編統合を行うべきです。
(2)県立高等学校について
今後の生徒数の動向などを考慮しながら、小規模校において近隣校との統合を検討していく場合には、連携型中高一貫教育校などの特色ある学校への改編なども含め、地域との連携によって活性化される方策を研究しながら、適切な手順に基づき、地域住民に対して十分に説明することが必要であります。
他方、小規模校の存続について検討していく場合には、地域の特殊性や実情だけではなくて、生徒が活力ある学びの場として活動することができるのかなど、真に生徒のために必要なのかを最優先に検討すべきであります。
9 企業庁について
(1)水道用水・工業用水供給事業について
水道用水・工業用水の供給事業においては、健全経営の維持を基本方向として、経営収支見込みが実効性のあるものとなるよう給水量の維持・確保や企業債の低利債の借り換え、管理費用等の抑制などの経営努力を強く求めるほか、給水量の減少による収支見込みへの影響や料金単価の適正設定の検討など引き続きさらなる精査に努めるべきであります。
(2)地域整備事業について
地域整備事業では、分譲の進捗率を約90%として、分譲促進等に取り組むことを改革の基本方向としていますが、これは、企業庁経営ビジョン「総合経営計画」における平成25年度末までの計画がその数値の基礎となっているものであり、計画の着実な実現を図られなければ、このような高い目標は到底達成することができません。
また、分譲地の整備には、用地買収や用地造成など、莫大な費用がつぎ込まれており、投資に見合う資金が回収されなければなりません。地価の下落は収まりつつあるとは言え、バブル後に購入した土地は含み損となっており、投資資金の回収が容易に進まない状況が続くのではないかと危惧されます。
高い目標値を設定し、経営戦略として努力する姿勢は評価できるものであり、目標に向かって最大限の努力を行うことはもとより、適宜進捗状況の点検を行い、必要に応じて、分譲戦略の見直しを行うなど、目標達成に向けた不断の取組を求めます。
さらに、施設の建設や改良などの資金調達に企業債など借入資本金を活用していますが、その利払いや償還が経営面で重荷となっています。分譲地の早期処分と並行して、高い有利子の負債圧縮に取り組むべきであります。
10 病院局について
(1)地域医療連携について
地域によっては、国立、県立、市町立、さらには民間病院が互いの連携もなく、混在化しているところがあります。その一方で、県立病院しか医療機関がない地域は、本来、市町立病院や民間の診療所が担うべき医療を県立病院が担っています。
このため、混在化する地域では、県立病院とその他の病院との役割分担を徹底し、重複・競合による患者数の減少を防ぐとともに、医療連携により医師の確保や経営の効率化を図り、県立病院の経営改善を進めるべきです。
また、本来、市町立病院が担うべき医療機能を果たしている県立病院においては、地元に応分の費用負担をさせることも検討すべきと考えます。
(2)病院の経営改革の推進について
県立病院の経営改善への取組みは、院長や管理局長のみならず職員一丸となって取り組むとともに、自身の病院を徹底分析し、優良な類似病院と比べ、何が良くて何が悪いのかという経営改善箇所を数値で明確化し、そのデータに基づいて課題の抽出や改善の方向性を明らかにするなど、民間で実施している「ベンチマーキング」と呼ばれている手法により、「成功の要因」をどんどん取り入れ、経営改善していく活動を実践していくべきであります。
とりわけ、患者確保や診療単価の向上などよる収益確保、人件費抑制や診療材料費・薬品費の抑制などによる費用抑制などの経営改革の推進により病院事業全体の当期純損益を平成28年度に黒字化するとともに、全病院での黒字化の早期実現を目指されていることに対して、大いに期待するとともに、その実現を強く求めます。
(3)県立尼崎病院及び県立塚口病院について
県立尼崎病院と県立塚口病院の運営の一体化を図り、高度で先端・専門の医療資源を効果的かつ効率的に提供して地域の医療を支えていくために、塚口病院が有する機能を充実させて、尼崎病院へ統合整備しようとしていますが、この統合によってどのように機能が充実されるのかなど、具体の将来像が不透明であります。
地元の意見等を十分に斟酌するとともに、これまでの両病院の外来・入院の患者利用状況などを勘案し、整備後の病院規模が適切なのか、現状と同水準以上のの医療サービスの提供が可能であるのかなど、統合に関する諸課題に加え、地域の医療のあり方についても、外部委員会において、慎重に協議・議論を尽くすべきであります。
11 公社・外郭団体について
(1)公社・外郭団体の見直しの考え方について
今回の推進方策案が示された8月11日の行財政構造改革調査特別委員会において、知事は挨拶の中で、公社等の外郭団体は「県行政の代替的・補完的機能を担い、県行政の実施機関として事業推進を図ってきた」と述べておられます。
しかしながら、平成20年度決算から地方財政健全化法に基づく4つの指標が導入され、公社の債務や県費の算入の状況がこの指標に大きく影響してくることとなり、公社・外郭団体の存廃を含めて、抜本的な見直しを進めていく必要があります。
過去の行革において、平成11年度から20年度にかけては、51団体から43団体へと15.7%の団体を削減しているのに対し、今回は、44団体から38団体と、13.6%の削減に留まっております。
特に、今回は、聖域無き行革を断行すべきであることを前提とすると、さらなる見直しを行い、現在の社会情勢で真に必要な団体のみを存続させることを基本として、不断の改革に取り組むべきです。
(2)見直しの基準や視点について
行革の基本的な視点は、コンパクトな行政、分権による二重行政の排除、民間活力の導入による効率化、県民の視点(透明性・公開制)、確かな検証といったものであると考えます。公社・外郭団体の見直しにあたっては、このような視点から、県政における公社・外郭団体のあるべき姿を検討することが肝要であると思います。
また、見直しの具体的な基準としては、?存在意義、?類似性、?採算性の3点があげられると考えます。県民の視点から見て存在意義が低く、県民生活に甚大な影響を及ぼさないものは原則廃止すべきです。また、類似の団体は、効率的な運営を図るために当然統合すべきです。そして、採算性を重視し、経営改善を図るため、役員などに民間経営者を登用することも検討すべきです。
(3)指導監督・監視機能の強化と検証について
県民の目からは、県職員OBの役員就任が「天下り」と映ることも多いと思います。県民の理解と協力を得ながら行革を進めていくためには、こうした県職員OBの役員就任の状況なども含めて、公社、外郭団体の公開性・透明性を高めるべきです。また、公社等への指導監督の強化について、第三者委員会を設置するとされていますが、真に実効性のあるものとするよう権能や人選を検討すべきです。
(4)役員定数や報酬等について
例え、無報酬でも、役員の数が多いと、意思決定段階の数が増し、職員の事務量が多くなります。また、役員自身も、本来の業務を遂行すべき時間を割いて理事会等に出席しなければならず、非効率となります。団体の事業規模や事務の効率化等を勘案し、役員の一層の定数減に努めるべきです。
また、役員が数年で交代していくと、経営改善が計画的に進まない場合も有り得ます。適正な人事とともに、責任の所在の明確化について検討していくべきです。
役員報酬については、報酬の引き下げや標準報酬額の公表など、一定の取組みを行っていますが、さらなる取組みとして、例えば負債の解消といった業績を、報酬に連動させる仕組みについても検討すべきです。
(5)県からの派遣職員について
今回の第二次案では、5割の削減に留まっていますが、公社、外郭団体の内部においてプロパー職員の幹部職員への養成に努めるとともに、県職員OBの活用を進める中で、県からの派遣職員の削減に努めるべきです。
(6)密接公社以外の関連団体について
今回の第二次案では、「県行政と密接な関連のある公社等」から5団体が除外されています。指導監督の必要性等を考えると、やむを得ないと思いますが、「密接な関連のある公社等」以外に、県が出資・出捐している団体は119団体、人的支援を行っている団体は29団体であるとお聞きします。
このような団体についても、その必要性を再検討し、順次、財政、人的支援の廃止を含めて見直しを図るべきです。
(7)個別団体について
《1》(財)ひょうご震災記念21世紀研究機構、(財)阪神・淡路大震災復興基 金、(財)兵庫県住宅再建共済基金について
いずれの団体においても震災関連の業務を行っており、財団法人としての個々の存否や統合について検討すべきです。
また、新たに設置される関西広域連合(仮称)において、「防災」事務について府県の枠を越えて取り組むことが検討されていることから、これらの財団法人の運営についても、将来的には広域での活動も視野に入れた検討を行うべきです。
《2》(財)兵庫県高齢者生きがい創造協会、(財)兵庫県青少年本部について(財)兵庫県高齢者生きがい創造協会が、あらゆる世代のニーズに応える組織として、「(財)兵庫県生きがい創造協会(仮称)」に改組されることから、その団体で育成された地域づくり活動の人材等を活用して、(財)兵庫県青少年本部の事業のさらなるスリム化を図り、将来的には両団体を統合すべきです。
《3》(財)兵庫県国際交流協会について
(財)兵庫県国際交流協会については、今回の第二次案ではプロパー職員や派遣職員の削減が盛り込まれていますが、さらに踏み込んで、本庁で直接執行する等、団体の存否まで検討すべきです。
また、ひょうご国際プラザについては、事業の類似性から鑑みて、神戸市と共同運営する方策を検討すべきです。
さらに、海外事務所については、その存在意義を含め、あり方を検証すべきです。
《4》兵庫県道路公社、土地開発公社、住宅供給公社について
効率的な運営を図るためには、本来、団体の統合が最も妥当な手段ですが、法制的に困難であれば、一刻も早く負債を解消できるよう、抜本的な経営改善を図るべきです。
例えば、収益性を重視しようとすると、トップに民間の経営者を充てることも検討するべきです。
また、県営住宅の管理運営について、さらなる民間活用を検討すべきです。
《5》(社)兵庫みどり公社について
第二次案では、平成90年度までの長期収支見込みが示されていますが、木材価格やコスト変動などの不確定要素が多く、このような見込みの確実性は乏しいと考えられます。最悪のケースを想定しつつ、今後の負債解消策を検討すべきです。
《6》(財)兵庫県学校厚生会について
県からの財政的、人的支援をできるだけ削減し、県民に分かりやすい福利厚生内容、事業規模であるべきです。
また、団体自らが設置する改革委員会とともに、公社、外郭団体のチェックのために設ける第三者委員会の意見、提言を受けて、一層の改善に努めるべきです。
(8)公的施設について
運営体制や事業内容の見直しにより運営の合理化に努めるとともに、より効率的で質の高い管理運営を図るため、可能な施設から公募による指定管理者制度を導入すべきです。
また、公的施設にネーミングライツを導入し、その収益により維持管理経費を捻出する方策も検討すべきです。
公的施設の市町への移譲や移管にあたっては、市町と十分な協議を行い、円滑に進めるべきです。
12 行財政構造改革の取組みの推進
(1)第三者委員会等について
《1》監査委員、議会、第三者委員会の役割分担について
去る8月6日、知事に対して、我が会派として申し入れを行いました。
その結果、第二次案においては、行財政構造改革の取組みの推進に関して、方策変更時の議会の議決、実施状況報告に対する議会の意見表明など、議会によるチェック機能の発揮につながる内容が追加された点は評価したいと考えます。
その一方で、推進方策の進捗状況について、これを審査する第三者委員会や、フォローアップ体制などについて、課題も残っております。
過去の2度の行革を反省し、同じ過ちを繰り返さないためにも、形式に過ぎることなく、厳しいチェックを行うべきと考えます。行革の進捗状況については二重、三重のチェック体制を整えるなど、各般から厳しいチェックを行う必要がありますが、この点、チェックを担う主体として、監査委員及び議会に加え、第二次案では、推進方策の実施状況を審査する第三者委員会(行財政構造改革推進委員会(仮称))を設置することとされています。
監査委員、議会、第三者委員会の三者について、行革の進捗状況をチェックしていく上で、それぞれの機関がどのような役割を担うこととなるのか、明確に整理しておく必要があります。
《2》委員について
第二次案では、第三者委員会の委員には、公認会計士や財政学の専門家等が就任することとされています。同委員会は、いわばプロとしての目で行革の進捗状況をチェックするものであり、《1》既に発生している問題は如何に小さなものでも見逃さない、《2》いまだ発生していなくとも問題につながりそうな芽については事前に摘んでいくといった視点に立って、冷静な現状分析と、これに基づく率直な評価を行ってもらうことが肝要です。
第三者委員会は、当局の案の追認機関となることなく、真に実効性あるものとして機能させる必要があり、そのためには、必要かつ十分な見識や専門的知識を兼ね備えた人物が、適切に人選されるべきです。
その際、客観性をいかに担保するのか、公認会計士や財政学の専門家等が必ずしも行政の事業に精通しているとは限らないといった点などに留意すべきです。
《3》委員会の権能・位置づけについて
第三者委員会による審査を単なる形式的なものに終わらせるのではなく、実効性の高いものとするためには、委員を選任する段階のみならず、同委員会が具体のチェック機能を果たしていくにあたっても、当局や議会から独立した立場で、明確に定められた権限に基づき、専門的・客観的な観点からの分析・評価を通じた実質的な審査を行えるような仕組みとする必要があります。
このため、同委員会の審査結果の報告にあたっては、単なる事実認定に止まらず、各分野別の進捗状況に対する評価のほか、県の財政状況に対する総合的な判断について、忌憚なく自由に意見や提言を付することができるよう、同委員会の権能や位置付けを明確にすべきです。
また、第三者委員会の役割、委員構成、権能・位置付けや審査の透明性確保など、具体的な枠組み等については、明確な法令上の根拠を整えておくべきです。
《4》委員会による審査の透明性確保について
第三者委員会による審査・評価結果の公正さを確保するためには、公正かつ適切な手続による委員選任、委員会の位置付けの明確化に加え、その審査手続における透明性を確保することが重要です。
審査手続は、限られた委員のみにより、非公開いわば密室の中で行われるべきものではなく、同委員会に提出される審議資料や同委員会の審議経過を広く公開し、県民及び議会によるチェックを可能にしておくべきです。
《5》達成度の評価について
行革推進方策の進捗状況を客観的に検証・評価するにあたっては、個々の事業の必要性や公平性など定量的な評価が困難なものもあります。
また、個々の事業の進捗にこだわりすぎて、そもそもの県財政の健全性を見失うことがあってはなりません。木を見て森を見ずということにならないよう、達成度の評価にあたっては、そのものさしが非常に重要になってくるものと思います。
そこで、具体的な数値など、万人に分かりやすい目標を設定するとともに、その達成度についても、目標からの乖離度を常にチェックし、数値的なデータとして示すなどの手法を検討していくべきです。
(2)行革推進方策の見直しについて
推進方策案によれば、知事は、社会経済情勢の変化、地方分権、税制改革など国の政策動向、県の財政状況等を踏まえ、必要に応じて推進方策を見直すとともに、3年を目途に行財政全般にわたる総点検を行い、その結果を踏まえて、推進方策の見直しを行わなければならないとされています。
しかし、最近の国の経済指標を見ると、社会経済情勢の変化、特に税収減などで財政フレームに狂いが生じる場合など、そもそも推進方策の前提自体が崩れることにより、その見直しを前倒しせねばならない事態が生じることが想定されます。
また、行革を推進する過程で、看過しがたい行政サービスの質の低下により、県民生活への多大なる影響が生じることもあり得ます。
このように、推進方策を見直す事態が生じた場合、議会の関与が十分に図られるよう、説明や情報開示が行われる必要があります。
(3)行革推進条例との整合性について
第二次案によれば、当局は、改革の取組の着実な推進と適切なフォローアップを図るため、改革の基本理念や推進方策の策定等の手続きを定める条例として行革推進条例を新たに制定し、その中で、これらの枠組みを規定することとされています。
しかしながら、元々、長期にわたり県の施策のよりどころとなるような基本的な計画の策定や見直しを行う場合には、議会の議決を義務づけることとし、既に平成18年に議員提案による基本計画条例が制定され、同年4月1日に施行されています。
確かに、行革の取組については、財政フレームから実施計画部分に至るまで、その策定、変更あるいはフォローアップについても、厳格にチェックしていく必要があり、その特殊性から、特別条例を制定する必要はありますが、行革推進方策は本県の向こう10年間を根本から縛る基本計画中の基本計画であり、先行する基本計画条例との整合性が図られるよう、整理しておく必要があるものと考えます。
特に、基本構想部分については、基本計画条例の規定と行革推進条例の規定とが重複するものであり、条文上、その適用関係を明確に整理しておくべきです。
13 第三者委員会(行財政構造改革推進委員会(仮称))と公営企業や公社・外 郭団体における外部の有識者等による委員会の関係について
第二次案では、推進方策の推進状況を審査する第三者委員会(行財政構造改革推進委員会(仮称))を設置することとされています。その一方で、塚口病院と尼崎病院の統合整備、公社や外郭団体の指導監督等においても、外部の有識者等による委員会を設けていくとしています。先日の行財政構造改革調査特別委員会の質疑においても、外部の委員会により公社や外郭団体等のチェック機能や透明性を高める旨の答弁がありましたが、そもそもこの委員会と第三者委員会との関係が明らかにされておりません。私どもは質疑を通して第三者委員会が最上位に位置すると受け止めていますが、これら三つの委員会の位置づけ、各々がどのような役割を担うのかなど、その関係について明確に整理し、お互いが十分に機能を発揮できるようにすべきです。
14 自主財源の確保について
わが党議員団では、一次プランで、新たな財源確保の手法として、ネーミングライツ導入の一層の推進や、広告物収入の確保、県有財産の売却等による財源確保、法人県民税超過課税による財源の使途の見直し、法定外目的税及び法定外普通税等の課税自主権の活用、滞納県税対策及び県営住宅家賃の未収金対策の強化などを提案したところであり、これらについて適切な対応を求めるとともに、ふるさと納税制度についても、十分にPRを行い、効果的に活用していくことを提案します。
以上がこのたびの第二次案の個々の項目に対する意見であります。
2月に第一次新行革プランにおいて財政フレームが示されてから約6ヶ月が経過しております。この間、平成19年度一般会計の決算見込みが発表されましたが、実質収支は、31年連続で黒字を確保したものの、黒字額は過去最小となり、実質単年度収支は7年連続の赤字となっています。経常収支比率は前年度より悪化し、初めて100%を超え、財政の硬直化が一層深刻になっており、実質公債費比率も20.2%と初めて20%を超え、財政健全度の低さが顕著となるなど、非常に厳しい財政状況となっており、今年度の税収確保も厳しい状況から、財政フレームの出発点から軌道修正が必要なのではないかと危惧されます。
さらに、我が国の経済は、原油をはじめとする資源エネルギーや原材料の価格高騰、米国のサブプライムローン問題による米国経済の減速等の影響により、戦後最長であった景気拡大が途切れ、一転して後退局面入りが鮮明になっております。
先ほどの決算見込みにおいても、歳入面では法人関係税が企業業績の低迷などにより、当初予算の見込みを大幅に下回り、収支不足を補うために減収補てん債の発行などの追加財源措置を余儀なくされています。
今後の景気動向如何によっては、県税収入のさらなる落ち込みが懸念され、地方財政計画と地方交付税の動き次第では、第一次プランの歳入フレームに大きな影響を及ぼし、財政フレームの収支不足が拡大する恐れがあります。
後期5か年の計画では、経済成長率を0.5%から2.9%と見込みながら、歳入不足が生じた教訓があったにもかかわらず、今回の財政フレームでも2.1%から2.8%の経済成長率を見込んでおり、今後の推移が気になります。
税収変動に伴う収支不足額に対しては、従来の算定方法を変更し、一定程度緩和できるように工夫していることは評価するものであるが、その許容範囲内におさまるのかどうかが大いに懸念されるところであり、景気が後退局面に入ったことを踏まえ、あらためて財政フレームの検証を行い、適切な財政運営を行うべきであります。
また、このように経済情勢が大きく変化する兆しがあるなかで、財政健全化の判断基準の一つとして、公社・第三セクターなどを含めた実質的負債を算定基礎にした新たなストック指標である「将来負担比率」の設定が明らかにされております。
現時点では早期健全化基準である400%を下回り、361.7%となっており、健全性を確保していますが、この指標をはじめ、フロー指標である「実質赤字比率」、「連結実質赤字比率」、「実質公債費比率」を含めた4つの指標について、経済情勢の変化を踏まえた今後の推移が大いに懸念されるところであり、明確な目標値を定め、その推移を適時適切に公表するなど、透明性の確保と的確な管理に努めるべきであります。
行革に関しては、大阪府知事が、独特の政治手法を武器に府民を引き入れ、財政再建を柱に据えた府政改革に取り組んでおり、全国的にも注目されていますが、本県では、歳出削減総額や人件費全体の削減額など、大阪府を上回る改革を断行しており、このことは評価できるところであります。
しかし、行革を着実に進め、早期に財政健全化を図るためには、県民にも痛みを分かち合ってもらえるよう丁寧な説明と十分な理解を得ることが必要不可欠であります。
民間機関の調査では、大阪府知事の改革姿勢を支持する府民が63%を占め、府が財政破たんするのではないかという不安を「感じる」という人は80%にのぼっています。
一方、マスコミによる兵庫県政に関する意識調査では、第一次新行革プランについて、財政危機自体も含めて「知らない」と答えた人が5割を超えており、県民に対して、危機感はもとより、県政に関する情報自体も十分に伝わっていない実態が明らかになっています。
広報紙やホームページ、メールマガジン、テレビ・ラジオ番組などの各種広報媒体を活用し、知事自らが率先して丁寧な説明やPRを行うとともに、パブリックコメントについても形式的な処理に終わらせるのでなく、積極的に意見や提言を求め、県民の声が的確に改革に反映されるよう取り組むなど、県民の意識改革につながる取組を求めます。
また、この調査では、重点的に取り組んでほしい施策として、「子育て、医療・福祉の充実」が一番多く、3割を占めています。このような「医療」「福祉」「子育て」施策の充実を求める県民意識は、真摯に受け止め、十分な配慮を行うべきであることは言うまでもありません。
いずれにしましても、県民から批判を招くことのないよう、丁寧な説明により十分な理解を得ることを今一度強く求めたいておきたいと思います。
以上、意見を述べてまいりましたが、今回策定される推進方策により、職員も痛みを分かつことになっております。モチベーションが下がり、県民サービスが低下することがないよう、県民のために意欲を持って働く職員を育んでいただきたいと思います。また、この改革を着実に進めるだけで、全ての問題が解決するわけではありません。これで気を緩めることなく、常にコスト意識をもって、職務に精励いただくことをあえてつけ加えさせていただきます。
さらに、いま申し上げた以外でも、公社外郭団体など、引き続き検証していかなければならない課題も多く残されていると認識しております。現在の組織が担っている業務を固定的に考えるのではなく、あらたな視点で、より柔軟に運用していくべきです。今後も、必要に応じて、適宜、提言してまいりますので、今回の意見とともに、真摯に受け止め、適切に対処いただくことを求めたうえで、第二次案について、わが党議員団としては一定の評価をするものであります。
冒頭でも申し上げたとおり、過去の2度の行革を反省し、同じ過ちを繰り返さないためにも、改革への着実な取組とともに、今後の景気動向や歳入の見込み状況などにも細心の注意をはらいながら、厳しい視点でのフォローアップが必要不可欠です。
「システムさえ変えればうまくいく」のではなく、変えたあとも人事を尽くすことが重要です。改革の成否は、ひとえにそれを実践する人間を直視した「知恵」と「アフターケア」です。「知恵のある改革」となるために、我々も、一緒に力をあわせてがんばっていきたいと考えております。
以上で、自民党の意見開陳を終わります。